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駄文書きの屋根裏部屋

ネット駄文書きの備忘録です。ネット小説や出版作品について、あれこれと語ります。

自作を酷評する〜『怪盗オオカモメの事件簿』

作品紹介

今日は、中編小説『怪盗オオカモメの事件簿』を紹介させていただく。この作品は、既に紹介済みの長編『水の女』の後日譚で、登場人物が継承されている。作品の眼目は、超常現象を用いたミステリ(超常ミステリ)で、ノックスの十戒破りでもある。第一部は透明人間、第二部はUMA、第三部は超能力がテーマになっている。

自評

ノックスの十戒は破れるのか?

本質的な問題は、ここに尽きると思う。ノックスの十戒でも有名なもののなかに、「探偵方法に超自然能力を用いてはならない」という決まりがある(第二則)。これを破るという試みは、既に日本でも行われてきた。2つの方向性がある。ひとつは、米澤穂信『折れた竜骨』で、超常現象それ自体がトリックになっているものである。もうひとつは、山形石雄六花の勇者』で、超常現象は登場するが、実質的には物理トリックが核のものである。拙作は、この両方に属する。いずれの場合にしても、最大の問題は、超常現象が登場したとき、ほかの可能性をすべて除去できるか、である。

簡単な例を考えてみよう、ある登場人物が、火炎魔法で殺害されたとする。このとき、それが氷魔法や電撃魔法ではできなかったことを、どうやって保証するのか。そもそも、その世界にいくつの魔法が存在するのか、ということを、どうやって明らかにするのか。これに答えるのは、容易でない。作中の人物が保証する、というのが一般的なやり方だと思うが、偽証の疑いが晴れないのである。拙作でも、この点を十分明らかにできなかったのが、難点のひとつとして挙げられるだろう。

プロットの無目的さ

もうひとつ難点を挙げるとすれば、プロット上の目的が明確でないことであろう。これは、前作『水の女』を読まないと主人公の目標が分からない、という点にあると思う。残念ながら、『水の女』は有名作というわけではないので、背景を知ったうえで読んでいただいたひとは少なかったのではないだろうか。そうなると、たいへん不親切な作品であった。

まとめ

以上、なぜ本作が(とりわけ他の超常ミステリと比べても)不人気か、という、その理由を解説した。キャラクターやトリック自体は気に入っているものが多いので、今後の作品に活かしたい。全面改稿もありだと思う。